2008.11.26の日記

いつも通り目覚ましをセットして一度は起きたが、二度寝してしまいあやうく遅刻するところでした。

今日は「ネットワークアーキテクチャ ~中立性第2ラウンド~」というテーマ。

元々はP2Pや動画配信(Gyao等)等のただ乗り問題から出てきたトラフィック制限や帯域制御という切り口での議論だったのが、NWの中立性をどのように考えるか、という議論になってきました。

話題は大きく2つ。トラフィック増加問題、ケータイ事業。

1つめはインターネットトラフィックの約80%が、ユーザ全体の1%によって占有されている、という状況で「受益者負担」という基本原則はどうあるべき?という問題。転送料規制、料金値上げ、ヘビーユーザ課金の3つの対策をあげられていました。

この中でなるほど、と思ったのが「ベストエフォート」という言葉の意味を再考する必要がある、ということでした。午後のJAIPAの木村氏の講演でもありましたが、「ベストエフォート」=「定額制」ではない、ということをもう一度しっかり考えて、訴えていくことが必要かもしれない。元々は「速度を保証しない」という意味でのベストエフォートが、今では「使えるだけ使える」というように誤解(ではないか)されている状況があるので、もう一度トラフィックに応じた料金計算をする時期にきているのかもしれない、ということでした。NGNでは帯域保証がされるので、そういうことがやりやすくなるかもしれない、という紹介もありました。

「ISPから見たブロードバンドトラフィックの現状」ということで、IIJの長氏の講演ではP2Pや動画配信のトラフィックが爆発的に増えた状況に対応するためにISPやIXではコアネットワークの設備増強が図られたため、実はこの先「供給過多」になる可能性がある、という報告が興味深かったです。

P2Pも一時期に比べて減っていて、最近はyoutubeやニコニコ動画のストリーミング系のトラフィックが増えてますが、それでもコアネットワークの設備には余裕があるそうです。とはいえ、トラフィックは年率30%の増加率で依然として増え続けているので、トラフィックは何とかして下げたい、という課題があります。その中でP2Pが注目されているということでした。

P2Pは今回たくさん取り上げられていて、増加するトラフィックをうまくさばくためにはP2Pに頼るしかないのかな、という印象でした。すでに実証実験が繰り返されていて、結構な効果があるようですが、結局末端のユーザにはUnicastで到達するので、どういう方式でさばこうと受信トラフィックの総量は同じ、ということで、2次、3次ISPにかかるトランジット料金の負担は軽くならない、という問題がP2Pネットワーク実験協議会の山下氏から報告がありました。

この問題の解決方法として、地域IXの再興、具体的にはキャッシュを置いてトラフィックを地域内に抑え込む、という手法が紹介されました。日本においてはキャッシュの利用に際して著作権法上の問題があるので、考え方や総務省がどんな施策を行っているのか、総務省の長塩氏から紹介がありました。地域内キャッシュの活用でISP間のトラフィックの減少を図るという実証実験の予算要求を平成21年度分で行うそうです。

上でも書きましたが、P2Pもまたトラフィック解消の方法の1つとして有力なもの、ということで、改めてP2Pの関して基本提言が慶應義塾大学の斉藤氏からありました。日本においてはP2Pアレルギーがあるので、P2Pの有効利用や関連技術の開発が萎縮している状況がある、という指摘がありました。また、提言にははっきりと、「技術者に責任を負わせる現状の法律実務は誤り」と記述されていました。国際競争力向上のためには、法律やその他制度の改善が急務である、という言葉で締められました。

他にはMS、MCFの方からいろいろお話がありました。ちょっと疲れてきたのでまた後日元気になれば。

最後にJCBの森氏から興味深いお話がありました。ざっくりいうと、ケータイのコンテンツポータビリティが無い=決済がキャリア依存していて移行できない、という問題を解決するための方法として、第3の(メタ的な)決済機関としてクレジットカード会社が動く、というスキームを提案されました。非常にうまいやり方だと感じました。

関連して海外の決済はどうなの?という疑義がありましたが、海外ではそもそもケータイで決済するようなことがないとのことで、あってもせいぜい情報をゲットするためにSMSでメールを送れば100円課金、といった程度だということでした。

中途半端ですが今日はここまで。